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『セッション』は最低の映画?怒涛のラスト9分を考察する

『セッション』は2014年に公開されたビックバンドジャズを舞台にした音楽映画。

ドラマーのアンドリュー・ニーマンとシェイファー音楽院の指導者テレンス・フレッチャーの師弟関係を描いたドラマ映画でもあります。

監督・脚本は『ラ・ラ・ランド』などで知られるデイミアン・チャゼル。

本作は「傑作」との呼び声高く、アカデミー賞では3冠(音楽賞・編集賞・助演男優賞)を獲得しました。

本記事では『セッション』の感想やあらすじ、曲の紹介、ラストの考察をしていきます!




『セッション』のキャスト・作品情報

ⒸSony Pictures Classics

 

作品情報

原題 Whiplash
公開年 2014年
上映時間 106分
ジャンル ドラマ・音楽

 

キャスト

監督 デイミアン・チャゼル
脚本 デイミアン・チャゼル
主演 マイルズ・テラー(アンドリュー・ニーマン)
出演1 J・K・シモンズ(テレンス・フレッチャー)
出演2 ポール・ライザー(ジム・ニーマン)
出演3 メリッサ・ブノワ(ニコル)
出演4 オースティン・ストウェル(ライアン・コノリー)
出演5 ネイト・ラング(カール・タナー)

 

『セッション』のあらすじ

ⒸSony Pictures Classics

 

名門シェイファー音楽院にかようドラマーのアンドリュー・ニーマンはある日、学校の指導者であるテレンス・フレッチャーと出会う。

その後、ニーマンはフレッチャーに引き抜かれ、彼のバンドでドラムを叩くことに。

練習に参加してみると、フレッチャーは生徒らに罵詈雑言・怒号をあびせ、厳しく指導する鬼のような指導者だった。

ニーマンもフレッチャーの超厳しい指導や屈辱的な言葉を浴びせられ、泣いてしまう。

しかしニーマンは悔しさをバネに血のにじむ(実際に血がでる)猛練習を重ねる。

 

『セッション』の感想

ⒸSony Pictures Classics

 

惹き込まれる演技力

 

『セッション』はアンドリュー・ニーマンを演じたマイルズ・テラーとテレンス・フレッチャーを演じたJ・K・シモンズの演技が素晴らしいです。

マイルズ・テラーは実際にドラムを叩いおり、劇中の血は本人のものだそう。

しかも2ヵ月間、一日に3~4時間ドラムの練習を続けたそうです。

マイルズ・テラーの作品にかける情熱と努力が最高のパフォーマンスを生み出したことは間違いありません。

一方、J・K・シモンズの鬼気迫る演技は彼にしかできなさそうですね。

大声で罵詈雑言をあびせ、怒号を放つ演技はテレンス・フレッチャーという人物が「鬼」であること強く印象づけました。

表情も超恐ろしいです。

本作はこの2人の見事な演技がなければ、「傑作」と称賛されなかったでしょう。

 

先の読めない展開

 

『セッション』は先の読めない展開になっています。

だいたい生徒と指導者の関係を描いた映画や学校を舞台にした映画ってなんとなく同じような感じですすむことが多いのではないでしょうか。

しかし本作は違います。

「え?マジでそうなるの?」って感じで予想できないストーリーが展開されました。

特に後半からはそれが顕著になっています。

 

最高のカメラワーク

 

『セッション』は観ていて、カメラワークが独特というか、一味違うなと思いました。

言葉で表現するのはちょっと難しいのですが、角度、強弱のつけ方、時間の長さなど他の作品とは違うのです。

「魅せる」っていう感覚です。

特に思ったのが、ライブシーン。

もうめっちゃカッコいいんですよね。

本当にシビれます。

本作の演奏シーンを観て「ビックバンドジャズやりたい!」とか「ビックバンドジャズにあこがれる!」なんて人も多いのではないでしょうか。

ぜひカメラワークにも注目して観てみてください!

 

『セッション』の怒涛のラストを考察

ⒸSony Pictures Classics

 

ここではネタバレを含みますのでご注意ください。

では、『セッション』の超絶怒涛のラストを考察していきます。

まず本作のラストを観て「フレッチャーはニーマンによる密告の復讐をした」と考える人も多いのではないでしょうか。

しかし私はそうは思いません。

なぜならラストのライブの前にニーマンとフレッチャーが再会したジャズバーでフレッチャーはこんなことを言っていました。

 

いつか彼が成功した理由を話したな

十代の彼はサックスの名手だがジャムセッションでへたをさらした

ジョー・ジョーンズにシンバルを投げられ笑われてステージを降りた

(中略)

1年後またリノ・クラブへ

因縁のステージに立つと史上最高のソロを聴かせた

もしジョーンズが言ってたら?

平気さチャーリー 大丈夫 上出来だ

チャーリーは満足 そうか上出来か

バードは生まれてない 私にしたらそれは究極の悲劇だ

だが世の中甘くなった ジャズが死ぬわけだ

 

つまりこのフレッチャーのセリフこそ伏線になっているのです。

どういうことかというと、ラストのステージでフレッチャーは「お前は無能だ」とニーマンに言い放ちます。

そのあと、ニーマンはいったんステージを降りました。

これは「ジョー・ジョーンズにシンバルを投げられ笑われてステージを降りた」というセリフに一致。

そして、再びステージに上がったニーマンは最高のソロを聴かせるのです。

これは「1年後またリノ・クラブへ 因縁のステージに立つと史上最高のソロを聴かせた」に一致。

 

もしかしたらニーマンはステージに降りたとき、ジャズバーで言っていたフレッチャーのセリフがよみがえってきたのではないでしょうか。

一見、復讐に見えるフレッチャーのやり方は、ニーマンの才能(パフォーマンス)を最大限にひきだすための究極のひきがねだったのではないかと思うのです。

物語の前半ではフレッチャーに屈辱的な言葉を浴びせられたニーマンは悔しさをバネに猛練習に励みました。

その結果、ドラムの腕が上達したことは間違いありません。

 

あえて厳しく突き放し、才能をひきだす。

そうしなければ、ホンモノはでてこない。

 

これがフレッチャーの信念だったのでしょう。

そのフレッチャーの信念に気づいた(理解した)ニーマンは最高のパフォーマンスで応えたのです。

ラストで見せた2人の微笑がそれを物語っています。


『セッション』の曲を紹介

ⒸSony Pictures Classics

 

ここでは『セッション』で演奏された曲とぜひ聴いてほしい曲も紹介していきます。

 

『セッション』オリジナル・サウンドトラック

 

Whiplash(ウィップラッシュ)

 

『セッション』の原題にもなっているWhiplash(ウィップラッシュ)

これはニーマンが初めてフレッチャーのバンドで演奏した曲ですね。

この曲は1973年にアメリカのジャズ作曲家でサックス奏者のハンク・レヴィという人物が作曲しました。

イントロがダイナミックですが、そろえるのが難しそうな曲です。

ちなみに「Whiplash」は「鞭打ち」という意味があります。

 

caravan(キャラバン)

 

caravan(キャラバン)はラストでニーマンが最高のパフォーマンスをみせた曲です。

この曲は1935年にデューク・エリントンと、トロンボーン奏者ファン・ティゾールが作曲しました。

劇中で演奏された曲のなかでは一番カッコいいですね。

なんといってもイントロのドラムが最高。

アップテンポで叩いているところでベースが入り、ピアノが入り、トランペットが入っていく。

これぞビックバンドジャズって感じですね。

 

Overture(オーバーチュア)

 

Overtureはオープニングとエンディングで使われた曲です。

作曲は『ラ・ラ・ランド』(2016)などの楽曲を担当したジャスティン・ハーウィッツ。

Whiplash、caravanにくらべるとシブい曲ですが、そこがいいですね。

ラストのドラムソロからOvertureに流れる瞬間は最高です。

 

他にも聴いてほしい曲

 

劇中で演奏されなかったけど、カッコいいビックバンドジャズの曲はまだまだたくさんあります。

特にニーマンがリスペクトしているバディ・リッチはイカした曲が多いですね。

実は私は学生時代にビックバンドジャズをやっていたこともあり、そのなかで出会ったカッコいい曲をいくつか紹介します。

 

・Time Check

・Ya Gotta try

・Wind Machine

・Bird Land

・The Heat's On

 

YouTubeで聴けるので気になったかたはぜひ聴いてみてください!

 

『セッション』の評価

ⒸSony Pictures Classics

 

『セッション』の評価はどのようになっているのでしょうか。

冒頭ですこし紹介したとおり、アカデミー賞では3冠(音楽賞・編集賞・助演男優賞)を獲得し、他の映画賞とあわせて計142ノミネート、48個もの賞を受賞しています。

映画のレビュー点数も軒並み高いのが特徴的。

海外のレビューサイトRotten Tomatoesでは批評家支持率95%、平均点は10点満点で8.6点となっています。

まさに傑作と呼べる評価を集めています。

では、実際に映画のレビューを見てみましょう。

 

主演両名の鬼気迫る演技が素晴らしかったです。ラストの展開もいいです。

何を見せられてるの今、、その演出と演技ゾクゾクしました。すごい映画を観ちゃった、、と放心状態でした。

久しぶりに手に汗握るというか、緊張しっぱなしで見られた映画でした。序盤、中盤からの最後の展開がもう素晴らしすぎます。テーマを一つにとことん絞っているところがシンプルで面白い。

 

と絶賛の声多数!

もちろんなかには低評価もあり、「怖い先生と練習熱心な天才ドラマーが居たってだけの一本」「自己中糞映画。時間の無駄」という声もありました。

フレッチャーのイキすぎた指導に嫌悪感を覚える人も多いようです。

しかし全体的には高評価が多いです。

映画レビューサイト映画.comの点数は5点満点中4.1と高評価でした。

 

『セッション』は最低?否、最高の映画だ!

ⒸSony Pictures Classics

 

『セッション』は最低の映画なのでしょうか。

否、最高の映画であると私は思います。

曲、ストーリー、演技、カメラワーク、テーマどれをとってもレベルが高い。

もちろん感じかたは人それぞれなので「セッションは最低だ!」と思う人もいるでしょう。

確かにフレッチャーのようなサイコ指導者がいたら気分が悪く人もなかにはいますよね。

しかし私は「セッションは最高の映画である」と胸をはって言えます。

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