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『スイス・アーミー・マン』を考察!多機能な死体でサバイブする映画のナゾとは?

『スイス・アーミー・マン』は多機能な死体と無人島脱出を目指す奇想天外なサバイバルアドベンチャー映画です。

死体役は『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみのダニエル・ラドクリフ。

本作はサンダンス映画祭最優秀監督賞を受賞しました。

さて本作は奇想天外で今まで観たことがないような映画です。

そのため「なんだろう?」と疑問点が多くあります。

そこで本記事では、『スイス・アーミー・マン』の6つの疑問点を考察していきます!




『スイス・アーミー・マン』の作品・キャスト情報

 

作品情報

原題 Swiss Army Man
公開年 2016年
上映時間 97分
ジャンル アドベンチャー・ドラマ

 

キャスト

監督 ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン
脚本 ダニエル・シャイナート、ダニエル・クワン
主演 ポール・ダノ(ハンク・トンプソン)
出演1 ダニエル・ラドクリフ(メニー)
出演2 メアリー・エリザベス・ウィンステッド(サラ・ジョンソン)
出演3 アントニア・リベロ(サラの娘)
出演4 リチャード・グロス(ハンクの父)
出演5 マリカ・キャスティール(リポーター)

 

『スイス・アーミー・マン』のあらすじ

ⒸA24

 

無人島に漂着したハンク・トンプソンは首をつって自殺しようとしていた。

そんなときに海岸で倒れている人を見つける。

ハンクがかけよってみると、それは死体だった。

しかし、死体にはガスがたまっており、オナラによって沖合へ移動していた。

それに気づいたハンクは死体に飛び乗り、ジェットスキーのようにして海の上を進んでいく。

無人島を脱出したハンクであったが、今度は違う島に漂着。

死体とともに過ごすことになるのであった。

 

『スイス・アーミー・マン』を考察

ⒸA24

 

『スイス・アーミー・マン』は多機能な死体とともに無人島で過ごすという奇抜な設定。

ストーリーも謎な点がいくつかありました。

きっと多くのかたが「なんだこれ?」と思ったことでしょう。

単純に観てしまえば、多機能な死体と無人島を脱出するサバイバル映画なのですが、よーく考えるとなにかしらの「意味」があるのではないかと思うのです。

ここではそういった謎な部分を考察していきます。

考察するポイントは以下の6つ。

 

  1. 無人島には意味がある?
  2. メニー(死体)は一体なんだったのか?
  3. 『スイス・アーミー・マン』はなにを伝えようとしたのか?
  4. なぜハンクはウソをついたのか?
  5. ラストの意味は?
  6. ラストの微笑みは?

 

以上の6つです。

ではひとつずつ考察していきます。

 

考察①無人島には意味がある?

 

『スイス・アーミー・マン』の舞台は無人島です。

舞台が無人島なのにはなにか意味があるのではないかと思いました。

そのヒントがセリフにありました。

 

ヤバいよ

人は他人のオナラを嫌う

(中略)

悲しいことだ

とても悲しい

自由を奪われるのにどうして故郷へ戻る

 

ここにいるべきかも

何でも好きなことができる

 

このセリフから推察できるのは、

  • 無人島=自由
  • 現代社会=不自由

無人島では第三者の目を気にすることがありません。

逆に現代社会は世間の目や人間関係、法律があり、じつは自由でないことがたくさんあります。

無人島は不自由な現代社会の対比として使ったのではないかと思います。

 

また、無人島はハンクの閉塞的な心をあらわしているのではないでしょうか。

なぜなら劇中で登場する「隠す」という言葉と無人島がリンクしていると思うから。

だから本作はハンクが自分を解放していく映画でもあると思います。

恥ずかしくて好意を打ち明けられなかったり、人前でオナラができなかったり。

第三者の目を気にして守ってしまう自分から脱出する過程をあらわすため、舞台を無人島にしたのではないかと思います。

 

考察②メニー(死体)は一体なんだったのか?

 

あまりにも現実離れした機能性をもった死体なので、ハンクの妄想なのではないかと疑ってしまいます。

確かに妄想もあるかと思いますが(会話しているシーン)、すべてハンクの妄想でかたづけてしまうのはあまりに浅はかな考えではないかと。

サラや警察官、ハンクの父親が目にしていますし、水上をオナラで移動している姿がカメラにおさめられているので、ハンクの妄想ではないと分かります。

サラの娘は実際に動いているメニーを目撃していますからね。

 

現実(表)と虚構(裏)が混じった存在なのかもしれません。

現実は死体の親友。

では、虚構(裏)のメニー(死体)は一体なんだったのか?

なにを表現していたのか?

そのヒントがセリフに隠されていました。

 

でも生きようとする思いが(ハンク)

いつも心の中にある

脳が作り出す生きる力だ

 

それは僕という存在かもね(メニー)

 

このセリフから推察できるのは、メニー(死体)はハンクの「生きようとする気持ち」の象徴だったのではないでしょうか。

つまり生きようとする気持ちを具現化した存在。

だからハンク≒メニーともいえるわけですね。

絶体絶命のピンチでメニーがハンクを救ったのは、ハンクの生きようとする気持ちが強くなったからだと思います。

映画の冒頭でハンクは自殺しようとしていました。

しかし、メニーと出会い、生きることになったのです。

ハンクはメニーをとおして生きる楽しみや生きる喜びを思い起こしていたのではないでしょうか。

 

考察③『スイス・アーミー・マン』はなにを伝えようとしたのか?

 

『スイス・アーミー・マン』は「生きることと向き合う」映画ではないかと考えられます。

冒頭でハンクが無人島に漂着していたのは、現代社会からの逃げであり、自分からの逃げを表現していたのかもしれません。

映画の冒頭はこんな言葉で幕を開けました。

 

助けてくれ

とても退屈だ

孤独に死にたくない

 

これはハンクが現代社会に感じていた思い(SOS)なのではないでしょうか。

大海原にポツリと手作りの小さな船が漂うシーンは寂しさや孤独を感じさせます。

あの船はハンクをあらわしていたのだと思います。

しかし、メニーと出会ったハンクは生きる力や生きる喜びを取り戻しました。

ハンクは生きることと向き合ったのです。

 

考察④なぜハンクはウソをついたのか?

 

ハンクは自分がメニーだとウソをつきました。

なぜハンクはウソをついたのでしょうか。

ハンクは本名を名乗るのが恥ずかしいと思っていたのだと思います。

彼は恥ずかしがりやな人間だと分かります。

  • 人前でオナラをしない
  • 好きな人に声をかけられない
  • 口下手で感情を言葉で表現できない

おそらくインタビューのときも本当の自分をだしたくなかったのではないでしょうか。

しかし、ハンクはインタビューの途中で本名を名乗ります。

その理由はサラに好意を知られたから、恥もなにもなくなり、本名を言ったのではないかと思います。

もしくは、メニーの存在を知らせたかったからとも考えられます。

ハンクは本名を名乗ったあと、死体のメニーを紹介しました。

メニーはメニーとして認識させたかったのでしょう。

 

考察⑤ラストの意味は?

 

『スイス・アーミー・マン』のラストでメニーはオナラで沖へ出ていき、ハンクがそれを見送りました。

このラストの意味はなんでしょうか。

考察②でメニーはハンクの「生きようとする気持ち」の象徴だと書きました。

それを当てはめてみると、ハンクは「生きようとする気持ち」とサヨナラした。

言い換えるなら、「生きよう」から「生きる」という確信に変わったと言えます。

 

もうひとつ考察したいポイントはハンクがオナラをしたこと。

人前でオナラをしなかったハンクがラストでは人前でオナラをしました。

これはハンクが自分の殻をやぶった瞬間だといえるでしょう。

「恥」を感じ不自由さを抱いていた自分を変えたのだと思います。

 

考察⑥ラストの微笑みは?

 

ラストシーンでハンクとメニーは微笑みました。

なぜ彼らは微笑んだのでしょうか。

考察②でメニーは現実と虚構が混じった存在だと書きました。

ラストで描かれたのは現実の部分。

つまり親友とした描いたのだと思います。

  • 今までありがとう、楽しかった
  • なんとかやっていけるよ
  • 元気でな

普通の友達に向ける気持ちと同じですね。

そんな思いがあの微笑みには込められているような気がします。


『スイス・アーミー・マン』の感想

ⒸA24

 

『スイス・アーミー・マン』はかなり奇抜な映画でした。

多機能な死体を使って無人島を脱出するという。

なんともいえない独特な映画です。

かといってアイデアだけが本作のおもしろさではありません。

映像と音楽も素晴らしのです。

映像は鮮やかで躍動感があり、音楽の使い方も絶妙。

監督のダニエルズはミュージックビデオで有名になった監督なのだそう。

ミュージックビデオで磨かれた才能が発揮されている感じですね。

本作は一見、単純そうで意外と深い映画です。

考えれば考えるほどよく分からなくなってきます。

本記事で長々と考察を書きましたが、ぜひ自分なりに考察してみてはどうでしょうか。

 

『スイス・アーミー・マン』の評価

ⒸA24

 

『スイス・アーミー・マン』の評価はどのようになっているのでしょうか。

冒頭ですこし紹介したとおり、サンダンス映画祭最優秀監督賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀長編映画賞などの賞を受賞しました。

映画賞をいくつか受賞しているので、評価は高そうですね。

では、実際に映画のレビューを見てみましょう。

 

何だこれは、なんだこれはの連続である。これは主人公の妄想か、ファンタジーかの丁度いいバランス。自然な演出が良かった

冷静にみると本作の構成はロードムービーなのだが、冒頭からハチャメチャすぎて何を見せられているのか理解が追いつかず混乱してしまう。

途中一度解りかけたような気がしたけど、勘違いだった。最後まで解釈出来ず。意味不明のまま終わった。

 

という評価がありました。

賛否両論な感じですね。

荒唐無稽な映画となるか、斬新でユニークな映画となるか。

人によって変わりますね。

ちなみに私は後者でユニークでおもしろい映画だと感じました。

映画レビューサイトFilmarksの点数は5点満点中3.5となっています。

 

【まとめ】『スイス・アーミー・マン』の考察は沼

ⒸA24

 

『スイス・アーミー・マン』の考察をしてきました。

単純な映画のようであって、かなり深い映画であったと思います。

もしかしたら監督のダニエルズはそこまで深い意味を与えたわけではないかもしれませんが。

しかし、本作は映像と音楽を楽しむだけでも一見の価値があると思います。

賛否両論ではありますが、ユニークなのでぜひ観ていただきたい作品です。

 




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