
乙一は「ジャンプ小説・ノンフィクション大賞」を受賞し、わずか17歳でデビューした小説家です。
中田永一、山白朝子など別名義でも活躍されていて、アイデア、ユーモア、文体、ストーリー、どれをとってもレベルが高く、読者を楽しませてくれます。
この記事ではまずは読んでおきたい乙一のおすすめ小説10冊をランキング形式で紹介!
ぜひおすすめを参考にして乙一作品に触れてみてください。
目次
乙一のおすすめ小説ベスト10!
1.『ZOO』
まずはこれ。乙一を知るための入門書
まずはこちら『ZOO』!乙一の入門書といったところでしょうか。ホラーから切ない話、温かい話、不思議な話まで乙一を知るにはうってつけの本になっています。
タイトル『ZOO』とあるように、まるで動物園のような多彩さ。友人からこの本をすすめられ初めて乙一作品にふれましたが、以来、乙一の大ファンに。中でも『カザリとヨーコ』、『陽だまりの詩』、『SEVEN ROOMS』はぜひ読んでいただきたいおすすめの作品。
ちなみに本作は2005年に映画化されています。バラエティーに富んでいるこの『ZOO』。どの話もおもしろく、楽しめます。
2.『失はれる物語』
切なく温かい短編集
続いて2位は『失はれる物語』。こちらも乙一の入門書といっていいでしょう。『失はれる物語』はあまりホラー色はなく、どちらかといえば切ない感じで温かい話が多いです。いわゆる白乙一ってやつですね。
『zoo』に比べると、バラエティの豊かさという点では劣りますが、それでもおもしろい!なかでも表題になっている『失はれる物語』はいいです。植物状態になってしまった男と妻の物語なのですが、ギュン!ってなるくらい切なくも愛を感じる話になっています。
こちらもZOOと同じく短編集になっています。切なくて、温かい話が読みたいという人には超おすすめ。
3.『GOTH』
連作短編の本格ミステリー小説
乙一が2003年に本格ミステリ大賞を受賞した作品。本格ミステリ大賞を受賞したというだけにおもしろいミステリー作品を読むことができます。
『GOTH』は乙一の豊かな発想力から生み出される不思議な話はありませんが、アッと驚く巧みなストーリー展開がお見事。僕と森野夜のコンビからなる連作短編になっています。とにかく終わりに意外性があって、ページをめくる手がとまりません。
『GOTH』は暗い感じの作風となっていますので、黒乙一を味わうことができます。乙一の中ではミステリー色が強いので、ミステリーが好きな人には特におすすめ。
4.『平面いぬ』
乙一の魅力を凝縮した4つの短編集
乙一の魅力がぎゅっと凝縮されたような4つの短編からなる小説です。乙一といえばその独特の世界観。例えば、表題になっている『平面いぬ。』は身体に彫ったタトゥーの犬が体表面上で生きているように動き回るというお話になっています。
すごくおもしろいアイデアですよね。しかし、アイデアだけではありません。乙一さんのすごいところはそのアイデアをさらにおもしろいストーリーにしてしまうところなんです。
『平面いぬ。』では伏線の回収がお見事。最後の最後まで楽しむことができます。『平面いぬ。』も乙一入門書として、おすすめの一冊になっています。
5.『暗黒童話』
ダークファンタジー×ミステリーの長編小説
『暗黒童話』はダークホラーなミステリー小説になっています。移植手術で死者の眼球を移植されたのですが、その眼球には移植者の映像の記憶が残っていて……という感じでストーリーが展開していきます。
このアイデアを聞いただけでもおもしろそうと思いませんか!?おもしろそう、ではなく実際おもしろいです。ダークな乙一を十分に味わえる一冊。
『GOTH』と同じく、ミステリー色が強いので、ミステリーが好きな人には特におすすめ。乙一の豊かな発想力を取り入れながら、本格的なミステリーを味わうことができます。
6.『暗いところで待ち合わせ』
視力を失った女と殺人容疑をかけられた男の奇妙な同棲を描いた小説
『暗い所で待ち合わせ』の表紙はホラーな感じですが、決してホラーな話ではありません。どちらかといえば白乙一の切なく温かい系。
視力を失ってしまったミチルと殺人容疑をかけられてしまったアキヒロの奇妙な同棲を描いた作品であり、生きづらさをかかえた2人が前向きに変わっていくという心温まる話になっています。
しかし、この『暗いところで待ち合わせ』はそれだけではありません。ミステリー小説としても読むことができます。ラストにはアッと驚く展開が。 2006年に田中麗奈主演で映画化されています。
7.『箱庭図書館』
読者のボツ原稿を乙一がリメイク!
『箱庭図書館』はオツイチ小説再生工場から生まれた作品集。読者が投稿したボツ原稿を乙一が選んでリメイクしたというわけです。
原作は読者のかたでしょうが、作品は完全にリメイクされ乙一そのものになっています。なかでもおもしろかったのは『ホワイト・ステップ』。とても切ないお話になっています。
パラレルワールドが舞台になっているのですが、先が気になりすぎてページをめくる手がとまりませんでした。ちなみに『箱庭図書館』の作品は全部で6作あります。乙一のストーリーづくりのうまさを改めて感じました。
8.『夏と花火と私の死体』
乙一の記念すべきデビュー作!
記念すべき乙一のデビュー作!彼は『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説大賞を受賞してデビューしました。執筆当時は16歳というのだから驚き。
高校生でこれを書けたというのだからすごいです。気になる内容ですが、主人公はなんと死体。親友に殺されてしまった五月(わたし)の目線で物語が展開していきます。
斬新なアイデアですね。天才の片りんをみせてくれるデビュー作はぜひ読んでおきたいところ。この頃からすでに豊かな発想力を持っていたことがわかります。
9.『銃とチョコレート』
児童向けの冒険ミステリー小説
『銃とチョコレート』は子供向けに書かれた児童書ではありますが、大人が読んでも十分楽しめるミステリー、そして冒険小説となっています。
大悪党ゴディバと国民的ヒーロー名探偵ロイズ。ロイズに憧れる少年リンツ。リンツは憧れの名探偵ロイズと旅にでます。冒険、謎、そしてラストにおとずれる意外な結末。乙一作品の中では異色な作品となっていますが、おもしろさは他作品にひけをとりません。
キャラクターとストーリー構成はもちろん、アッ驚く仕掛けもあり。児童書なので、普段よりもひらがなが多いのが気にはなります……。
10.『小生物語』
小説じゃないけど、おもしろい!
『小生物語』は小説ではないのですが、ぜひ読んでおいてほしい一冊。小説ではないのなら一体、なんなのか?日記です。
一人称が“小生”として書かれる乙一の日記。ただの日記なのですが、天才乙一が書いてしまえば日記すらもおもしろくなってしまうのです。乙一らしいユーモアや不思議な話まで、乙一らしい独特の文体で書かれたこの日記は嘘か真か。
こんなにおもしろい日記は日本中探しても『小生物語』一冊と言っても過言ではありません。それくらいおもしろい、キング・オブ・日記。
番外編『メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション』
乙一の全名義が集結した短編集
乙一、中田永一、山白朝子、越前魔太郎、と乙一全名義の小説が収録された7編からなる短編集。さらに本名である安達寬高がそれぞれの小説を解説するという内容になっています。もちろん本作の小説は他作品未収録のオリジナル。乙一ファンなら読んでおきたい一冊ですし、ファンでなくても楽しめる一冊です。どうしても紹介したいので、番外編として紹介させていただきました。
乙一のおすすめ小説ベスト10のまとめ
乙一のおすすめ小説ベスト10を紹介してきました。
読んでなかった作品、気になる作品があったかたはぜひ読んでみてください!
もちろん乙一には紹介しなかった作品もまだまだあります。
どれもおもしろい小説になっているので、興味がある人は読んでいただけたら乙一ファンとしては幸いです。
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