『Separation-きみが還る場所』は2002年に発行された市川拓司の恋愛小説。
ネットで公開されたこの作品は『VOICE』と合わせ、延べ12万人に読まれました。
市川拓司の記念すべきデビュー作品。
『Separation-きみが還る場所』は2003年に『14ヵ月~妻が子供に還っていく~』というタイトルになってTVドラマ化されています。
主な出演者は高岡早紀、蒼井優、中村俊介、酒井若菜。
愛しているのに離れてしまう、切なく哀しい純愛小説『Separation-きみが還る場所』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!
目次
『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)の情報
作品情報
著書:市川たくじ(市川拓司)
出版社:アルファポリス
初版発行:2002年
ジャンル:恋愛
冒頭を試し読み
そう、とにかく、記憶の初めにあるのは、彼女のブラウスを透かして見えていた、下着のあざやかさな白さだった。出会いから語ろうとすると、どうしてもこの記憶から始めなくてはならない。15の彼女は一切の虚飾をそぎおとした、とても簡潔なからだつきをした、どちらかと言えば控えめな印象の少女だった。 『Separation-きみが還る場所』より
『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)のあらすじ
同級生だった悟と裕子は親の反対を押し切って結婚。
幸せに暮らす2人だったが、裕子の体に変化が生じ、背丈が次第に小さくなっていく。
若返りという裕子の逆行現象が進んでいくなか、悟は裕子に寄り添う。
【ネタバレあり】『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)の感想
ファンタジーが入った恋愛小説
市川拓司の特徴として、ファンタジーな作品が多いですが、『Separation-きみが還る場所』でもファンタジーな内容となっています。
その気になるファンタジー(設定)ですが、悟の妻である裕子の体がどんどん若返っていくというもの。
いわゆる逆行現象です。
彼女の体がどんどん若返っていき、大人から子供、そして幼女にまで若返り、最後にはいなくなってしまいます。
最後に裕子がいなくなってしまう場面はとても哀しい気持ちになりました。
どこかで「このまま生きていくんじゃ」ないかと予想はしていたのですが、裕子は消えた。
愛する人が消えてしまうのを想像すると胸が痛くなります。
愛するって素晴らしいんだと思える
『Separation-きみが還る場所』を読むと「愛するって素晴らしいんだ」と心から思えます。
最近では恋愛しない人や結婚をしない人が増えていますが、そんな人たちにおすすめしたい1冊。
誰かを心から愛したくなります。
そして、裕子と悟のような夫婦になりたいとも思います。
2人の会話がとても微笑ましくていいですね。
【ネタバレあり】『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)の結末は?
『Separation-きみが還る場所』の結末はどうなっているのでしょうか。
物語の結末で裕子がいなくなってから10年の月日が経ち、悟は34歳になりました。
そして彼がいつもの週末と同じように自然公園の小径を走っていくと、あるものに出くわします。
一本のボルトが入ったガラス瓶。
そしてひとりの女性の姿。
この品物が意味するものは、裕子が帰って来たことを意味するのではないでしょうか。
推測するに裕子は生まれ変わって悟に会いにきたのだと思います。
だから『きみが還る場所』と副題がつけられたのではないか、という気がします。
『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)の評判は?
『Separation-きみが還る場所』の評判・レビューを紹介します。
レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、
「ただ二人でいるだけで、支えあい、お互いを愛することの大切さを思い出させてくれる」
「読み終わったあとの余韻がせつなかったです」
「2人の気持ちが純粋で素直で、とても心が温かくなる作品でした」
など愛する大切さを教えてもらったという評価が多いです。
ちなみにアマゾンのレビュー点数は3.1。
個人的には3.8をあげていい作品だと思います。
『Separation-きみが還る場所』(市川拓司)のまとめ
切ない純愛小説『Separation-きみが還る場所』。
愛する素晴らしさ、そして愛する大切さを教えてもらいました。
ネットで12万人の人が感動したというのも頷けます。
とても素敵な恋愛小説なのでぜひ読んでいただきたいです。