『ルーズヴェルト・ゲーム』は2012年に発行された池井戸潤の小説。
2014年には唐沢寿明、江口洋介、山﨑努、六角精児、工藤阿須加らのキャストでテレビドラマ化されました。
業績不振に陥る青島製作所、廃部危機に直面した伝統のある青島製作所野球部。
その2本柱でストーリー展開していき、ラストに待ち受ける大逆転劇!
魅力的なキャラクターが織り成す人間ドラマと痛快な逆転劇ストーリー『ルーズヴェルト・ゲーム』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!
目次
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)の情報
作品情報
著書:池井戸潤
出版社:講談社
初版発行:2012年
ジャンル:ドラマ
冒頭を試し読み
赤茶けた土のついたスパイクで打席を均したとき、北大路犬彦は興奮も緊張も感じなかった。公式戦となるトーナメントの一回戦だった。観客席はガラガラで、一塁側の味方ベンチの左端にかけている監督の村野三郎は、不機嫌極まる表情のまま微動だにしない。スコアは七対ゼロ。九回裏二死、走者無し。敗色濃厚というより、敗戦確定といっていい場面で代打を命じられた犬彦は、この試合最後の打者になろうとしている。 『ルーズヴェルト・ゲーム』本文より
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)のあらすじ
中小企業である電子部品メーカー青島製作所は世界的な不況により、経営不振に陥っていた。
青島製作所にはかつて強豪チームだった伝統のある野球部があったが、会社の不振(年間3億円のコスト)のために野球部廃部論が上がる。
その上、監督の村野三郎が主力の選手を引き抜いて青島製作所野球部を去り、ライバルのミツワ電器野球部に入ってしまう。
総務部長かつ野球部部長をつとめる三上文夫は、野球部存続のために尽力し、野球理事に後任監督の推薦を依頼していた。
その後、村野の後任監督として、新設高校の野球部監督をしていた大道雅臣が青島野球部新監督に就任し、レギュラー、補欠関係なく大胆な選手の入れ替えやポジションの変更をおこなう改革を進める。
大道の改革にベテラン選手たちは不満の声をあげるが、大道はデータを使い試合に勝利していくのだった。
『ルーズヴェルト・ゲーム』の意味
『ルーズヴェルト・ゲーム』は「点を取られたら取り返し、8対7で決着する試合」を意味し、野球好きだったアメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズベルトが「一番おもしろいゲームスコアは、8対7だ」と言ったことに由来します。
【ネタバレあり】『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)の感想
企業と野球の2本柱で魅せる
『ルーズヴェルト・ゲーム』は経営不振に陥った青島製作所と廃部危機に直面した青島野球部の2本柱でストーリーが展開していきます。
企業が経営に行き詰まり……というのは池井戸潤の十八番であり、また同じような内容かと思われるかもしれませんが、廃部危機の野球部がストーリに関わることで、新鮮味があり、面白く読むことができました。
野球をやるシーンもあるため、野球好きならさらに楽しめるはず。
会社の経営不振のため廃部危機にある野球部。
しかし、そんな中でも懸命に野球をする野球部員たち、そして野球部存続のために奔走する三上部長と古賀、経営回復に向けて努力する細川、青島製作所の社員達が織り成す人間ドラマが面白い!
奇跡の大逆転劇!
『ルーズヴェルト・ゲーム』はラストに大逆転劇が待っています。
経営不振に陥っていた青島製作所はライバル企業のミツワ電器との新センサー採用に勝利し、一方、野球部もミツワ電器野球部との一戦に勝利。
苦境にあった青島製作所が見事、最後に勝利した時にはスッと心が晴れやかになります!
残念ながら青島野球部は廃部が決定してしまうのですが、エピローグでは驚きの展開が。
新天地でも旧青島野球部員たちには頑張ってもらいたいものです。
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)の名言
ここでは『ルーズヴェルト・ゲーム』の名言を紹介していきます!
誰だって、挫折することはある。挫折は終わりじゃない。
ケガをして挫けていた萬田を見て大道監督が言った名言。
挫折して「もう終わりだ……」と思った時に思い出したい言葉ですね。
「なにクソ!」と立ち上がる勇気をもらえます。
過去に目を背けているだけじゃ、解決しないってさ。前に進もうと思ったら、その過去に立ち向かうしかないだろうって。
前を向くためには過去と向き合わなきゃいけない。それが辛い過去であればなおさらだ。
過去に暴力事件を起こしてしまっていた沖原に対して古賀が言った名言。
誰しも過去に失敗してしまった経験や辛い過去があるのではないでしょうか。
しかし、そこから逃げるのではなく、立ち向かうことで成長できるのです。
以上、『ルーズヴェルト・ゲーム』の名言でした!
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)の評価・レビュー
『ルーズヴェルト・ゲーム』の評価・レビューを紹介していきます。
レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、
「どんどん中に引き込まれていきました。非常に面白かった。続編が出ないかなー。」
「題名に興味を惹かれ、つい買ってしまったが、読み進むうちに面白く一気に読んでしまった。」
「野球のルールを全く知りませんので、話が理解出来るか最初のうちは不安でしたが、とっても面白かったです。」
と、高評価の声が続出!
さすが池井戸作品といったところでしょうか。
ちなみにアマゾンのレビュー点数は4.4。
個人的には4.0をあげていい作品だと思います。
『ルーズヴェルト・ゲーム』(池井戸潤)のまとめ
経営不振にあえぐ青島製作所と野球部の奮闘、逆転劇が最高におもしろかった『ルーズヴェルト・ゲーム』。
辛い時や元気がない時に読むとむくむく勇気がわいてくる、そんな小説になっています。
本作は野球のシーンがでてきますが、野球の知識がなくても大丈夫!
十分、楽しめます。
ぜひ奇跡の逆転ゲームを読んでみてください!