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又吉直樹の第3弾!『人間』(又吉直樹)のあらすじや感想を紹介

『人間』はお笑い芸人ピース又吉直樹の純文学である初となる長編小説。

主人公の永山はイラストや文章を書いて生計を立てる38歳の男です。

序盤は若い表現者たちがシェアハウスする“ハウス”の回想から始まり、やがて現在の視点へと戻ってくるストーリー構成になっています。

主人公は『火花』『劇場』と同じく表現者。

表現者であるために創作のことでぶつかり合う場面が『人間』でも描かれています。

本作で掲げる“人間をやるのが下手”“人間が拙い”とはどういうことなのか。

又吉直樹自身が「今まででいちばん自分と近い小説」と伝えた『人間』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!




『人間』 (又吉直樹)の情報

作品情報

著書:又吉直樹
出版社:毎日新聞出版
初版発行:2019年
ジャンル:ドラマ

冒頭を試し読み

理由はわからないが群衆が一斉に絶叫していて、自分もそのただなかにいるのだけれど、どうしても周りの人の目が気になり叫ぶことができなかった。叫ばなければ命を落とす危険がある状況だということだけはなんとなく感じているのだが、それでも叫べないのが情けない。  『人間』本文より

『人間』(又吉直樹)のあらすじ

絵や文章での表現を志してきた永山は、38歳の誕生日、古い知人からメールを受け取る。

若かりし頃「ハウス」と呼ばれる共同住居でともに暮らした仲野が、ある騒動の渦中にいるという。

永山の脳裡に、ハウスで芸術家志望の男女と創作や議論に明け暮れた日々が甦る。

当時、彼らとの作品展にも参加。

そこでの永山の作品が編集者の目にとまり、手を加えて出版に至ったこともあった。

一方で、ハウスの住人たちとはわだかまりが生じ、ある事件が起こった。

忘れかけていた苦い過去と向き合っていく永山だったが―。

漫画家、イラストレーター、ミュージシャン、作家、芸人……。

何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待っていたものとは?

【ネタバレあり】 『人間』(又吉直樹)の感想と考察

難しい小説

又吉直樹の小説は『火花』『劇場』と読んできましたが、3作目である『人間』はより純文学に近い内容であり、解釈の難しい小説になっていました。

『火花』『劇場』はエンタメというか、ストーリー性があったのですが、『人間』はほぼありません。

エンタメ視点から見れば、つまらない小説といえますが、純文学の視点から見れば深くて評価が高い、そんな感じがします。

好き嫌いが分かれるというか、賛否両論が生まれそうな小説ですね。

個人的に一番、印象に残っているのが、ナカノタイチとポーズ影島のメールでの攻防戦。

著者が一番気合を入れて書いているんじゃないかと思うくらい読み応えのある場面ですが、読むのが大変でした。

やはり難しい小説というのが印象的……。

“人間をやるのが下手”とはどういうことなのか。

本の帯には“僕達は人間をやるのが下手だ。”とあります。

人間をやるのが下手というのはどういうことなのでしょうか。

『人間』の序盤から中盤にかけては、相手の才能に嫉妬してしまうことで、相手を攻撃(バカにする)し、自分を価値あるものにしようとしているシーンが印象的でした。

しかし、後半である第3部はそういったシーンはなく、永山の子供の頃の回想や両親のやりとりが中心になります。

そして、ラストで永山はこう語ります。

「人間が何者かである必要などないという無自覚な強さを自分は両親から譲り受けることはできなかった」

つまり、永山や『人間』の登場人物達は“何者”かになろうとして必死だった。

自分には特別な才能がある、他人とは何かが違う、普通の人ではない、と心のどこかではそう考えていたのではないかと思います。

だからこそ成功した人に嫉妬したり、批判したり、見下すような発言するのではないでしょうか。

その行為や弱さこそ人間が下手と言えます。

逆に言えば、人間をやるのが上手いとは、自分が特別な何者でもないことを自覚し、生きてる、楽しく暮らしてる、をやってることを言うのかと思います。

『人間』を読んでタモリのこんな名言を思い出しました。

「人間って『自分がいかにくだらない人間か』ということを思い知ることで、スーッと楽にもなれるんじゃないかな」

人間が何者かである必要などない。

自分は特別でもなんでもない。

人間が下手でもいいから、失敗してもいいから、一歩ずつ人間をうまくなっていこう。

そう思える小説です。



『人間』(又吉直樹)の評価・レビュー

『人間』の評価・レビューを紹介していきます。

レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、

「人間の何たるかや苦悩・葛藤・孤独などを懸命に“描こう”としているように思う。」

「面白かった。文章が読みやすく、緻密な小説。しかし、密度が濃すぎて我々読者が想像する余地があまりない。」

「又吉さんの長編小説にこのタイトルかなり期待してましたが、論ずる会話劇に嫌気がさしてしまった。物語を読みたかった。」

という評価・レビューがありました。

あまり評判は良くないないようです。

本作は純文学過ぎたのでしょうか。

「小説の体を成していない」というレビューもありました。

ちなみにアマゾンのレビュー点数は3.0。

個人的には3.5をあげていい作品だと思います。

『人間』(又吉直樹)のまとめ

ピース又吉初の長編ということでかなり読み応えのある作品であり、文学として進化した小説であると感じました。

「人間ってなんぞや」と考えるきっかけにもなります。

1回読んだだけでは全てを理解できないなかなか深みのある小説。

いつか再読したいと思います。

これからもピース又吉の小説に期待!




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