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累計260万部を突破した大ベストセラー!『君の膵臓をたべたい』住野よるの記念すべきデビュー作!

『君の膵臓をたべたい』は2015年に発行された住野よるによる青春小説。

『キミスイ』の略称で親しまれ、累計260万部を突破した大ベストセラー!

本屋大賞第2位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2位になるなど、高く評価され、2017年には北村匠海、小栗旬、浜辺美波、北川景子らのキャストで映画化、さらには、2018年にアニメ映画化もされました。

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インパクトのあるタイトル、そしてライトな文体でありながらも、内容は「生きる」というテーマについて問うた奥深い小説となっています。

小説投稿サイトから生まれたシンデレラ小説『君の膵臓を食べたい』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!




『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の情報

 

作品情報

著書:住野よる
出版社:双葉社
初版発行:2015年
ジャンル:青春

 

冒頭を試し読み

クラスメイトであった山内桜良の葬儀は、生前の彼女にはまるで似つかわしくない曇天の日にとり行われた。彼女の命の価値の証として、たくさんの人の涙に包まれているのであろうお葬式にも、昨日の夜の通夜にも僕は行かなかった。ずっと、家にいた。幸い、僕に出席を強いるような唯一のクラスメイトはもうこの世からいなくなっていたし、教師やあちらの親御さんに僕を呼ぶ権利も義務もあるはずなく、自分自身の選択を尊重できた。 『君の膵臓をたべたい』本文より

 

『君の膵臓をたべたい』(住野よる)のあらすじ

 

「僕」はある日、学校を休み病院へ行っていた。

些細な気持ちでロビーの隅、端っこにぽつんと置かれたソファの上に、一冊の本が置かれている。

拾ってみた本は「共病文庫」という手書きで書かれたタイトルの文庫本。

それは「僕」のクラスメイトである山内桜良が綴っていた秘密の日記帳であり、彼女の膵臓の病気や、余命いくばくもないことが記されていた。

この一冊の文庫本が原因で身内以外、唯一桜良の病気を知る人物となり、僕は山内桜良との焼肉やお泊り旅行などのデートに付き合っていくことに。

初めは渋々であった僕も次第に桜良と心を通わせていき、成長していく。

 

【ネタバレあり】『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の感想と考察

ライトに思えて実は深い

 

『君の膵臓をたべたい』は会話文などからライトな小説に思えるかもしれませんが、よく読んでみると深い小説だなと分かります。

「生きる」というテーマに対して深く書かれているから。

ヒロインである山内桜良は膵臓の病気を抱えており、余命わずかで、病気で死ぬのだろうと思っていたらそうはならなかった。

彼女は通り魔に刺されて死んでしまうのです。

ここから分かるのは「人間いつ死ぬか分からない」ということ。

例え病気を抱えていたとしても、誰でも死というものは突然やってきて、命を奪っていく。

幸せであるとか、不幸であるとか、お金があるとか、ないとか、良い人間か、悪い人間かも関係なしに。

本文の中に山内桜良が言った言葉があります。

私も君も、もしかしたら明日死ぬかもしれないのにさ。そういう意味では私も君も変わんないよ、きっと。一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。

もしかしたら明日死ぬかもしれない私たち。

一日の価値は変わらないのだから、一日一日を大切にして生きていきたいですね。

 

なぜこれほど人気なのか?

 

『君の膵臓をたべたい』はなぜ人気なのか。

考えられる理由をあげてみます。

・死が絡んでいる

・読みやすく、会話がライトであり普段読書をしない層にも受け入れられた

・「生きる」という誰もが共感できるテーマ

・タイトルにインパクトがある

・キャラクターが魅力的

・主人公が心を通わせ成長していく

という6つの理由があるのではないかと。

その中でも特に「死が絡んでいる」というのが一番大きいと思います。

死があると感動がつきものですが、下手に扱うとしらけてしまい、難しいものではありますが、本作は山内桜良の遺書が明かされる場面などのシーンを使ってうまく感動を誘えていました。

また、病気で死んでしまう作品は腐るほどありますが、本作は通り魔に殺されるという他作品との相違点をつけたことで、オリジナリティが増した点も一つの理由ではないでしょうか。

いずれにしろ、大きな魅力のある小説には間違いないですね。


『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の好きな言葉

 

ここでは『君の膵臓をたべたい』の好きな言葉(名言)を紹介していきます!

『君の膵臓をたべたい』の名言

・私も君も、もしかしたら明日死ぬかもしれないのにさ。そういう意味では私も君も変わんないよ、きっと。一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。

・普通に生きていて、生きるとか死ぬとか、そういうことを意識して生きている人なんて少ない。

・生きてるんだから恋をしないとね

・気づく。全ての人間が、いつか死ぬようになんて見えないってことに。僕も、犯人に殺された人も、彼女も、昨日生きていた。死ぬ素振りなんて見せずに生きていた。

・人間は相手が自分にとって何者か分からないから、友情も恋愛も面白いんだよ。

・偶然じゃない。私達は、皆、自分で選んでここに来たの。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ

・生きるってのはね。きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ

・誰かを認める、誰かを好きになる、誰かを嫌いになる、誰かと一緒にいて楽しい、誰かと一緒にいたら鬱陶しい、誰かと手を繋ぐ、誰かとハグをする、誰かとすれ違う。それが、生きる。

以上、『君の膵臓をたべたい』の好きな言葉(名言)でした。

本作のテーマでもある「生きる」ことについての名言が多いですね。

特に最後に紹介した言葉が好きです。

ありきたりな言葉ではありますが、「人は一人では生きられない」のだと言う意味がよく分かる言葉。

やはり人間は自分以外の誰かがいて成り立つ動物であって、人と関わっていくことで「生きる」実感を得られるのだなと思います。

「人と関わりたくない」なんて言ってられないですね。

 

『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の評価・レビュー

 

『君の膵臓をたべたい』の評価・レビューを紹介していきます。

レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、

「生きること、人との関係、心の温もり、命の大切さについて、たくさん教えて頂きました。」

「主人公達の心情のすれ違い、移り変わり、そして一致していく様を表現する描写に心を奪われました。読み終えて余韻の残る素晴らしい小説です。」

「人を好きになるという事はどういう事か教えてくれる小説。それこそ、学校では教えてくれない、大人からのメッセージだと思う。」

と、高評価の声が続出!

その一方、「人に勧められて仕方なく読んだ。半分でリタイア。文章もストーリーも何もかも下手すぎて話にならない。小学生向けというレビューを見て納得した。」という低評価も一定数あります。

ライトな文体や会話、病気のリアリティのなさ、ありきたりというのが低評価の理由ですね。

さらっと読んでしまうとありきたりではありますが、よくかみ砕いて読んでいけば、いろいろな発見があったりして面白い小説だと思います。

ちなみにアマゾンのレビュー点数は3.7。

個人的にも3.7をあげていい作品だと思います。

 

『君の膵臓をたべたい』(住野よる)のまとめ

 

「生きる」ことについて考えさせてくれた『君の膵臓をたべたい』。

評価について賛否両論はありますが、これだけ売れたのだから決して駄作ではないはず。

本当につまらなかったら売れませんからね。

1回読んでつまらなかったら、時間をあけて再読してみるのもいいかもしれません。

僕自身、1回目はあまり面白いとは思わなかったけど、2回目読んだらなぜか面白いなと思えたので。

本作は映画化されているのでぜひ観てください!

 



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