『階段途中のビッグ・ノイズ』は越谷オサムの高校の軽音楽部を舞台にした青春小説。
青春小説のど真ん中を突っ走っているような小説で、熱い中にも青春の爽やかさも感じられる小説となっています。
まさに青春バンド小説の傑作!それくらいおもしろい!
特にバンド経験がある人や音楽が好きな人、洋楽が好きな人にはとても楽しめる作品となっており、漫画化もされています。
爽やかな青春バンド小説『階段途中のビッグ・ノイズ』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!
目次
『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)の情報
作品情報
著者:越谷オサム
出版社:幻冬舎
初版発行:2006年
ジャンル:青春
冒頭を試し読み
洟がとまらない。拭っても拭っても、鼻水はしつこく唇の上を濡らす。バッグの底で潰れていたポケットティッシュはすぐに底をついてしまい、足元の段ボール箱の中から古びたクリーニング・クロスをひっぱり出すと、神山啓人はおもいきり洟をかんだ。もったいないとは思わなかった。どうせ捨ててしまうのだ。 『階段途中のビッグ・ノイズ』本文より
『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)のあらすじ
県立大宮本田高校の軽音楽部は覚せい剤の取引をしていた上級生の逮捕の影響で廃部の危機にあっていた。
幽霊部員だった九十九伸太郎は先輩のせいで廃部になってしまうことに納得がいかず、同学年の神山啓人を連れて校長室に廃部を撤回を求めて直談判しに行く。
軽音部存続に校長から条件が出されたものの、部存続が決まり、神山啓人と九十九伸太郎は田高マニアでの演奏を目指してメンバーさがしを始めることに。
まずは加藤先生(カトセン)が顧問になり、再スタートを切る。
軽音部は階段途中の踊り場と屋上手前のスペースまでの二十二段という与えられた居場所で練習を再開。
あとはギターとドラムを探すだけだが……。
【ネタバレあり】『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)の感想
難しいことは考えず一気に読めてしまう傑作青春小説になっています。
軽音部が舞台となっている小説なので、音楽が中心となっていますが、青春にはつきものである恋愛要素もあり!
軽音部のゆくえも気になりつつ、主人公である神山啓人の恋のゆくえも気になってしまいます。
この『階段途中のビッグ・ノイズ』で好きなところはなんといってもキャラクター。
たくさんの登場人物がでてくるのですが、どのキャラクターも個性的で愛着がわきます。
特にストーリーの中心人物となる神山啓人、九十九伸太郎、嶋本勇作、岡崎徹の軽音部四人組がみんな個性ありすぎて、やっていけないんじゃないかと思うけれど、いい具合に化学反応を起こしてやっちゃうんです。
もちろん脇を固める先生方も負けず劣らずユニークな個性を発揮!
魅力ある登場人物たちと共に青春劇を楽しんでください。
ライブシーンに熱狂!
『階段途中のビッグ・ノイズ』ではクライマックスとなるライブシーンが最高の見せ場になっています。
小説なので、もちろん文章しかないのですが、会場の熱気や彼らの演奏する音まで聞こえてきそうで臨場感たっぷり!
最高に熱いライブを届けてくれますし、バンド、そして音楽ってイイなと思わせてくれます。
ちなみに田高マニアで演奏される曲はこちら。
ライブ演奏曲
・『We Will Rock You』/Queen
・『Blitzkrieg Bop』/Ramones
・『All I Want』/The Offspring
・『Redundant』/Green Day
・『Basket Case』/Green Day
・『Rock And Roll All Nite 』/Kiss
全部、洋楽のパンク・ロック系の音楽ですね。
古い曲もありますが、ノリノリで良い曲ですし、ライブでやったら盛り上がる曲ばかり。
興味がある人はYouTubeで聞けるのでぜひ聞いてみてください!
『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)の評価は?
『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)の評価をまとめてみます。
レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、
「なんだか、学生時代に戻りたくなる。そんな小説。疾走感もあり、読みやすい。」
「高校生の頃の、無駄に元気な情熱とかパワーが伝わってきて、自分も若返ったかのような錯覚を覚えました。」
「青春時代の忘れものを取りに行ったような甘酸っぱい小説です。」
など青春小説の良さを存分に味わえるという評価が多いです。
また、「実際に曲を聴きながら読んだら鳥肌たった」という声も。
ちなみにアマゾンのレビュー点数は3.9という高評価。
個人的には4.0の作品だと思います。
『階段途中のビッグ・ノイズ』(越谷オサム)のまとめ
個性的なキャラクターや予想外のストーリー、熱いライブシーンで楽しませてくれた『階段途中のビッグ・ノイズ』。
もう一度読みたくなる傑作青春小説でした。
元気がない時に読めば彼らの奮闘にきっと元気をもらえるはずですし、ライブで演奏された音楽を聴いてみるのもおすすめ!
こんなキラキラした爽やかな青春送りたかった。