恋愛 本の感想

又吉直樹の第2弾!恋愛小説『劇場』のあらすじや感想を紹介

『劇場』は芥川賞作家であり、お笑い芸人ピース又吉直樹の恋愛小説

芥川賞を受賞した『火花』に続く、第2作目となります。

内容は演劇をしている売れない主人公、永田と女子大生である沙希が出会って恋人関係になり、演劇と恋愛が軸になっていくというストーリー。

恋愛小説のなかではほのぼのした感じになっていました。

2020年に行定勲監督、山崎賢人、松岡茉優のW主演で映画化されます。

東京を舞台に、夢と挫折を描いた恋愛小説『劇場』について、あらすじと感想、作品の魅力をネタバレを交えて紹介していきます!

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『劇場』(又吉直樹)の情報

作品情報

著者:又吉直樹(ピース)
出版社:新潮社
初版発行:2017年
ジャンル:恋愛

冒頭を試し読み

まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて見えたことはまだない。もう少しで見えそうだと思ったりもするけど、眼を閉じた状態で見えているのは、まぶたの裏側の皮膚に過ぎない。あきらめて、まぶたをあげると、あたりまえのことだけれど風景が見える。  『劇場』本文より

『劇場』(又吉直樹)のあらすじ

劇団『おろか』の売れない劇作家である永田はある日、画廊を訪れていた沙希に出会う。

そこで永田はたどたどしくも懸命に言葉をつないで沙希を誘い、近くのカフェへ行っておごってもらうことに。

その後、連絡先を交換していた永田はいっしょに劇団をやっている野原のアドバイスを受け、「一緒に家具を選んで欲しい」と沙希をデートに誘った。

こうして沙希と交際するようになり、永田は沙希が住む下北沢のアパートに転がりこむようになる。

しかし、永田は稼ぎがほとんどなかったため、家賃も光熱費も食費もすべて学生である沙希が払った。

やがて沙希は服飾の大学を卒業し、朝から洋服屋で働き、夜は近所の居酒屋でアルバイトをする生活を始める。

沙希が朝から働くようになっても永田は家賃すら払うこともなかった。

それでも沙希は永田を嫌うこともなく、受け入れていたが……。

『劇場』(又吉直樹)の感想

前作『火花』を超えるおもしろさ

『劇場』は芥川賞を受賞した『火花』よりもおもしろかったです。

恋愛小説で分かりやすかったというのもあるかもしれませんが、永田と沙希の関係、他の登場人物たちの絡みがうまく描けていました。

特に永田と沙希の関係はほのぼのしていて、その関係性が羨ましかったです。

「こういう恋人関係っていいな」なんて。

また、永田の演劇に対する姿勢というか、好きなんだけど、才能が認められないという点には共感しました。

それにしても、永田と青山のメールでの喧嘩する場面はすさまじかったです。

しかし、“人間らしさ”がよく引き出されていたのではないかと思います。

主人公、永田が個性的

主人公の永田が個性的でした。

どこか、雰囲気がピース又吉に似てるような……そんな感じがします。

関西弁ですしね。

永田は売れない劇作家で、いわゆる“ヒモ”であり、他人を見下したりするちょっと変わった不器用な人間。

ちょっと自虐的な面もあります。

決して、良い人間とは言えないし、むしろ嫌いという人もいるかもしれませんが、逆にそこが人間味あふれていて好感がもてました。

こんな永田を受け入れる沙希はとてもイイ子。

明るく、優しく、ほんわりと包み込んでくれるような子です。

こんな子がいたら好きになっちゃうかもしれません。

『劇場』(又吉直樹)では永田と沙希はもちろん、青山にも注目してみてください。

青山はクセが強い。


【ネタバレあり】『劇場』(又吉直樹)の結末

『劇場』の結末はなんとも切ない感じになりました。

これは別れといってもいいでしょう。

実家に帰り、地元で生活することに決めた沙希に永田は沙希とのこれからの未来を語りますが、沙希は涙を流して「ごめんね」というだけ。

このたった一言の「ごめんね」が胸にせまり、切ない思いに。

当の永田は猿のお面をつけて「ばあああああ」とおどけます。

沙希との関係が終わりだとわかったからこそ、泣いている沙希ではなく笑っている沙希を見たかったのだと思います。

永田の不器用だけど優しい一面が見られる場面ですが、もしかしたら永田も泣いていたのかもしれません。

永田も実は泣いていてそれを隠すためにお面をつけ、悲しさをまぎらわすために「ばあああああ」とおどけたとも考えれます。

永田の性格からしてそれもあり得ますね。

いずれにせよ、ラストは胸にせまる切ない結末となっています。

『劇場』(又吉直樹)の評判は?

『劇場』の評判・レビューを紹介していきます。

レビューサイトでのレビューをいくつかまとめると、

「ストーリーとしては何の変哲もない恋愛ものだが、何回も泣いてしまった」

「これは正に切なすぎる純愛小説です」

「最後は切なすぎて泣いてしまった」

など「ラストに泣いてしまった」という声が多いです。

他には「永田がクズ」という評判も目立ちました。

やはり永田に関しては好き嫌いが分かれてしまうのかもしれません。

ちなみにアマゾンのレビュー点数は3.7であり、『火花』よりも0.1点だけ高い結果に。

個人的には4.0をあげていい作品だと思います。

『劇場』(又吉直樹)のまとめ

又吉直樹の珠玉の恋愛小説『劇場』。

人間味あふれる登場人物たちを描き出し、素敵な恋愛小説に仕上げました。

永田と沙希の関係以外にも、熾烈なバトルが繰り広げられた永田と青山の関係にも注目です。

前作の『火花』が楽しめなかったという人でも『劇場』なら楽しめるはず。

ぜひ、読んでみてください!




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